窪美澄の短編集です。
目次
<ちらめくポーチュラカ>
学校の女子グループの呪縛から
やっと開放されたと思ったら
ママ友という新たな女グループの出現に
嫌われないように苦戦する主人公。
これは、女性あるあるなんだろうな。
母親になっても、いぢめにあった子供の頃の
悪夢が消えるわけじゃない絶望に共感した。
いつまでも、子供の頃の自分っているんだよね・・・
どれが正解だったのか、わからない。
自分をいぢめた女子が、どうして自分を嫌ったのか
聞いてみたいってキモチとか。
解決策なんてないよな・・・と思いながら
読んでいたけど
丁寧に明るい未来が見える終わりに
感服した。
<サボテンの咆哮>
育児に、もっと関わりたいと思いながら
多忙な仕事で、父のようにはなりたくないと思っていたのに
自分も同じ道を辿っているんじゃないかって不安と
妻と向き合いたいのに、うまく、向き合えない
もどかしさを持っている主人公。
「ちらめく~」でも、そうだったけど
基本、夫は仕事が多忙で帰りが遅かったり
妻の孤独な時間が多い。
会話のない父(祖父)と息子(孫)の関わり方を見て
子供の頃は見えなかったことが親になってから
見えることってあるよねと思ったり。
家庭という船を家族一緒に漕ぎ出したいって
キモチがあるだけ好感がもてた。
そして、産後うつになってしまった妻の
希望のある言葉にも救われた。
<ゲンノショウコ>
これは、すごく泣いてしまった・・・
障害をもった妹を愛していたのに
離れてしまった姉の話。
最初は、自分の娘も障害があるのではないか?と
気になってしまう主人公。
なんとか、そんな妻の支えになりたいと
思う夫も、また仕事が多忙・・・
悲しくて優しい話だった。
<砂のないテラリウム>
結婚して子供が生まれてから妻が
自分より子供ばかりで
誰か自分だけを見つめてくれないかと思った時に
出会った独身女性に浮気ココロが芽生える主人公。
「サボテン~」とは違うタイプの男性で
これはなーw
自分勝手としか思わなかったなwww
婚期を逃したくない独身女性に
独身だと嘘をついて浮気しようとするが
離婚も絶対したくないっていう
既婚男性の浅はかさ。
スッキリする終わりじゃなかったのもw
<かそけきサンカヨウ>
父とふたりで穏やかな生活を送っていたのに
父の突然の再婚で
再婚相手と血の繋がらない妹ができる主人公。
だいたい、小説だと再婚相手が
イヤな人だったりするけど
この話の再婚相手は、すごく、いい人なんだよね。
主人公は、父も愛しているし
家を出ていった画家の母も愛しているんだよね。
「老いる」描写が、細かく書かれていて
自分が大きくなるってことは
親は老いていくことなんだって感じたり。
<ノーチェ・ブエナのポインセチア>
「かそけき~」と繋がった話。
「かそけき~」では、頭のいい性格のいい少年として
描かれていた子が主人公。
心臓手術をした後の話で
あれ・・・そんな性格だったっけ・・・?
と思うくらい違って見えた。
もしかしたら、「かそけき~」では
同級生の女の子から見えてた少年で
こっちは、その少年自身が語ってるから
見え方が違うってことなんだろうか?
「水やりはいつも深夜だけど」は
各話に、タイトルの植物が出てきて
同じ街の中の話だった。
最終的には、登場人物たちが繋がる話かな?
と思ったけど、それはなかったw
「かそけきサンカヨウ」は実写映画になっていたので
本を読み終わってからアマプラで見た。
小説って、マンガのように絵があるわけじゃない。
読んだ人それぞれに感じるものが違う。
だから、実写映画は監督や脚本が思った世界で
作られるので
なんか違うな・・・は、あると思う。
そこのシーンは、忠実に再現してほしかったな
と思ったり
そのセリフを言わせちゃうのか・・・
と思ったり。
マンガをアニメ化するより
小説を実写化する方が、実は難しいのでは?
と感じた。
その小説が好きであればあるほど。
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