あの空は夏の中

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最後の会話

選択授業で、一番前の席になって

あとから遅れてきた茶髪男子が隣になった。

 

この選択授業を選んだのは

好きな国語の先生が受け持つかもと思ってたのに

新米の若い男性教師でガッカリしたけど

すぐにクラスにとけこんで、私も、よく話すようになった。

 

私の逆隣の男子は、よく落書きをしていて

 

「何、描いてるの?」

関羽

 

かんう・・・?

何、それ?と、聞くと、三国志のキャラのひとりらしい。

それから、その男子のことを「関羽」と呼ぶようになった。

とても、大人しい男子だった。

 

茶髪男子は、よく、しゃべる男子だった。

同じグループのリーダー的女の子が

ちょっと、その男子を気になっていたから

ちょいちょい、隣の席いいなーと言われて

席、変わってもいいよ?と言ったけど

席を変わることはなかった。

 

新米先生は、低学年の国語も受け持っていて

私たち、女子の会話を聞いてて

 

「え?低学年のあの男子、魚の彼氏なのか?」

 

と、言われて

茶髪男子も、驚いて

 

「彼氏いるの?」

 

と、聞かれて、うんと答えた。

 

それから、夏休みに入った。

夏休みも部活はあったから、たまたま

部室の廊下で、茶髪男子と会った。

 

「めずらしいね?どうしたの?」

 

と、声をかけると

 

「荷物取りに来た・・・」

「荷物・・・?」

「あー・・・学校辞めたからさ」

 

しばらく、ふたりとも窓を見つめながら話した。

 

「彼氏とは、うまくやってるの?」

「うん」

「そっか」

 

学校辞めて、どうするの?とか

今、バイトしててとか、そんな話をして

それが、最後の会話になった。

 

新学期、私の隣の席が、ちょっとだけ寂しく感じた。