あの空は夏の中

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無知であることは罪

※この記事には、障害のことを書いています。

 

弟の同級生に、「しろくん」と呼ばれている

男の子がいた。

 

しろくんは、有名人だった。

 

学年の違う私でも知っていたし

親たちも、もちろん知っていた。

 

しろくんは、障害者だった。

きちんと歩けないし手も腕から曲がっていた。

 

弟も、他の子も、しろくんに親切にしては

親や教師から褒められていた。

 

ラソン大会では、しろくんは

いつも、最後にゴールする。

 

しろくんが、ゴールするまでに全学年が

校庭にいる状態で待っていた。

 

しろくんの姿が見えると先生が放送で

「がんばれ、がんばれ!!」

と言って

校庭の子たちも

「がんばれー!!!!」

と、声を出して応援してたし

ゴールすると、みんな拍手した。

 

今、振り返ってみると

いろいろと間違っていた時代だったと思う。

 

しろくんは、親切にされると

「ありがとございます」とペコッと頭を下げてたから

親たちは、礼儀正しい良い子だと言っていた。

 

みんなが、疑問に思っていたのは

しろくんは、なんで、手が曲がってるのか?

 

誰から聞いたかわからないけど

「赤ちゃん時に、椅子から落ちてそうなったみたい」

と、親たちは言ってた。

 

しろくんには、お姉ちゃんがいて

私は、そのお姉ちゃんと学年が違ったので

接点はなかったけど

噂では、不良だと言われていた。

 

親が、しろくんにつきっきりだから

お姉ちゃんはグレたんだろう、と。

でも、しろくんを可愛がってる

優しいお姉ちゃんだとも言われていた。

 

同じ団地内だったので、見かけたことはあった。

 

私は、長い間、しろくんは

身体障害者」だと思ってたけど

もしかしたら

それだけではなかったのかもしれない。

 

昔、授業で、野口英世を習った時

野口英世も、赤ちゃん時に手を火傷して

手を治してくれた医者と出会ったことで

医者になった人だと知った。

 

でも、野口英世は、手の火傷で手が不自由になったけど

きちんと話せて勉強もできて医者になった。

 

しろくんは、「ありがとございます」しか

言葉を聞いたことがない。

 

弟が、中学にあがった時

しろくんとバスで会ったよと親に話していた。

 

私たちが、進学する中学校には一緒に

進学できないことを

みんな、なんとなく知っていた。

バスに乗って違う中学校に行くんだ。

 

そこで、弟が、しろくんが小銭を出そうとして

親切にしてあげたと言ってて

親から褒められていた。

 

私は、またか・・・

と、思った。

 

なんだか、まわりの子たちが

親や教師に褒められるために、しろくんを

利用してるように感じた。

 

私は、私だけでなく、みんな

自分のことで精一杯で忙しくなって

しろくんを忘れていった。

 

ネットを通じて、いろんな障害を知り

自分でも、いろいろと感じることや考えることが

増えて

 

しろくんを思い出した。

 

なんだか、とても鮮明に

今まで、忘れていたことがウソのように。

 

みんな、しろくんに親切にしてあげたと

言ってたけど

誰も、しろくんと友達じゃなかった。

弟も、もちろん友達じゃなかった。

 

下校時間、たまに見かけるしろくんは

いつも、ひとりで帰っていた。

しろくんのお姉ちゃんも

そういえば、いつも、ひとりだったな・・・

 

あんな狭い団地の中で

ほんとかどうかもわからない噂話をされ

なんて生きにくいところで

あの姉弟はいたんだろう・・・

 

そう思うと、胸が苦しくなった。

 

しろくんが、他の言葉を話せたのかどうか

わからないけど

 

覚えたのが、お礼と頭を下げることだったとしたら

しろくんの親はそれだけを一生懸命

教えていたのか?

 

世間の目は厳しい。

 

しろくんが、礼儀正しい良い子だと

評判がよかったのは、それのおかげだと思うし

もし、しろくんが違う言葉や態度だったら

「これだから、障害者は」

と、避難されていたと思う。

 

自分が、親になったから

余計、思う。

 

親は、一生懸命、子供を守ろうとして

どうすればいいか考える。

子供の幸せのために。

 

自分に石を投げられてもいいけど

子供には、石を投げられないように。

 

実際、「いぢめ」はなかった。

 

教師も親たちも、しろくんに親切にしろと

言っていたし

親切にしたら褒められるから

「いぢめ」の対象ではなかった。

 

でも

 

ほんとは、もっと、フツーに

しろくんと接するべきだったんじゃないか?

と、私は思う。

 

他の子が、最後にゴールしたって

声援や拍手なんてしないように

しろくんにもフツーでよかった気がする。

 

いぢめは、なかったけど

誰も友達じゃなかった・・・

 

ほんとは、もっと大事なことを

私たちは、学ぶべきだった。

 

しろくんにだって

友達は必要だった。

しろくんのお姉ちゃんにも。

 

別の中学に進学した、しろくんが

その後、友達と一緒に帰ったり

しろくんのお姉ちゃんも幸せになっていたら

いいなと思った。

 

もう、あの狭い団地の中には

いないことだけが

私を、ホッとさせたけど

 

なんだか、すごく苦しくなって

涙が止まらなくなった・・・

 

子供だったから、無知だったからは

ほんと「無知であることは罪」だと

私は思った。

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