あの空は夏の中

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夢は諦めなければ叶うと信じてた

「高校には行かない」

ある日、ママにそう伝えた。

 

物心つく前から、ずっと絵を描いてた。

小学校でも、中学校でも、とにかく絵やマンガを描くのが

好きだった。

 

小学校の成績は、図工以外、すべてオールCという

(ABC方式成績表だった)

見事なまでに、綺麗に並んだCの中で

一際、異彩を放つ、図工A。

 

中学の成績も、勉強は底辺だった。

授業中、ノートを書いてるフリをして

隠れてマンガを描いてた。

休み時間も、ずっとマンガを描いては

友達に見せて感想をもらうのが楽しみだった。

 

ママは、私がテストで0点でも100点でも

興味がなかった。

 

私は、将来は絶対、マンガ家になりたいと思ってた。

 

同級生から、マンガ家になる人は

私たちと同じくらいの10代でデビューしてる。

今、デビューしなかったら遅いんだよ。

そんな話をされた。

 

私は、そんなことないんじゃない?

いくつになってもマンガ家を目指せるんじゃないかって

同級生は、今の絵柄で10年後、20年後には

古くなってデビューどころじゃなくなるよ。

と、言った。

 

14歳で、私は、初めてママに自分の進路を話した。

 

「高校には行かない。私はマンガ家のアシスタントになる。

そしてマンガ家になる。」

 

その時のママの顔は覚えていない。

ただ、その時に言われた言葉は忘れない。

 

「お前の絵なんて誰でも描ける。

プロのマンガ家になれるのは、一握りの人間だけだ。

お前なんて、その一握りの人間の中になんか入れない。

高校行かないでどうするの?

いいから高校くらい行きなさい。」

 

私の絵も、マンガも見たことも読んだこともないくせに・・・

今は、ヘタかもしれないけど、だからアシスタントしながら

マンガの勉強をしたいって言ってるんじゃん・・・

 

「高校に行かないなら、家から出て行きなさい。」

 

ズルいと思った。

中学の時のお小遣いは、1000円だった。

そんな、お金のない中学の自分に家から出ろって

ムリな話だった・・・

 

私が、一握りの人間にも入れないと言われた言葉も

ショックだった・・・

全否定。

たったひとつ、自分がやりたいと思ったことを全否定。

 

私が、駅を知ったのは中学の時

マンガ家のサイン会に行くために友達と始発に乗ったのが数回。

まだ、切符の買い方もわからない頃だった。

 

あの頃、東京は、とても遠く感じた・・・

今だったら、東京まで電車で30分くらいで着くとわかるけど

中学の私には、とても遠く感じた。

 

そして、お金もなくアテもなく東京に出て

どうやってマンガ家のアシスタントになるのか・・・

 

親以外に、相談できる大人も、頼れる大人もいなかった・・・

 

中学の私の頭の中の知識じゃ、到底、難しい問題だった・・・

 

ママは、高校くらいと言ったけど

私は、高校に行くことなんて考えていなかったし

この底辺な成績で入れる高校は、もちろんなかった。

 

部活は、美術部だったけど

ほとんどマンガを描いてた。

 

ママは、高校くらい行けと言ったけど

お金がないから私立には行かせられない。

もちろん県立一本で入れと言われた。

下に兄弟たちがいるから、お前が見本にならないで

どうするんだ。

 

私は、この日から絵やマンガを描くと怒られるようになり

勉強しろと言われ、偏差値を上げろと言われた。

 

もう、ほとんど、どこから躓いているのかさえ

わからない勉強・・・

塾に行きたいと言うと、塾に行かせるお金はないと言われ

 

私は、何のために受験するんだろう・・・

夢を諦めるために高校に行くのだろうか・・・?

夢を越える何かを探しに高校に行くのだろうか・・・?

 

親に逆らったことがない私に、親の言葉は絶対だった。

 

もし、親に逆らって好きな道を選ばなかったあなたが悪いと言うのなら

お金をもってない中学生にどうすればよかったと言えるのだろうか?

地理感覚もない、知らない東京に出ろというのか?

何のアテもなく東京に出ろというのか?

 

親に応援されて、東京に出るのとは違う。

そんな家庭環境なら、どんなに恵まれていただろう。

やるだけのことをやって、もし、もうダメだと思ったら

どんなに幸せだったろう。

自分から、夢を諦められたら、どんなに幸せだったろう。

 

まだ、何もチャレンジさえしていない。

チャレンジするチャンスさえ与えてもらえない。

ただ、夢を潰すだけの存在が、親だったら

子供は、どうすればいいんだろう・・・

 

高校に行かず、マンガ家にもなれず

お前に、他に何があると言うの?

 

それは、親心だというのだろうか・・・?

子供の将来の心配をしてるから反対するんだよと

言うのだろうか?

 

やりたいことがないのなら、ひとまず大学に進みなさい。

とは、違うと思う。

 

だって、私には、やりたいことがきちんとあったのだから。

そして、そのことを迷いなくママに言った私が悪いのだろうか?

ママを説得できることなんて不可能だったと

今でも思うのに、当時の私ができるわけないと痛感する。

 

ママは、自分の気分で私を無視するし

食事もなしで帰らない日なんて、しょっちゅうだった。

 

パパが、あまり帰れない仕事だったから

パパがいない家庭は、ママが支配していた。

 

子供にとって、家庭と学校だけが社会だった。

 

私には、選択肢がなかった・・・

 

高校受験をするしかなかった。

そして、なんとしても県立に合格しなければいけなかった。

 

偏差値を上げるために、毎日、勉強して

みんなが寝静まった頃

深夜に、私はマンガを描いていた。

 

親の言うように受験をするけど

同時に、夢も諦められなくてマンガを描いてた。

 

そして、私は高校生になった。

 

何のために?

夢を諦めるために?

夢以上のものを見つけるために?

 

そんな疑問符を抱えながら。