あの空は夏の中

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置いていったもの(1)

不登校や登校拒否って

最近、増えたと思ってる人が多いことに驚いた。

 

だって、私が、中学に入学した時に

初めて声をかけてくれたクラスメートは笑顔で

「私、15歳なんだ」

と言った。

 

え・・・なんで?

2年間、1年生をやっていると言っていた。

病気で休学とかでもないと。

 

その時は、あまり理解してなかったけど

彼女が作ったグループに入って

今、私の親友である子も紹介してくれたのは

彼女だ。

 

私の小学校は、団地内にある学校だった。

学年4クラスに対して

彼女や親友の学校は、マンモス校と呼ばれる

学年8クラスある学校だった。

その二校が中学進学で合併するので

自然と他校が多くなるので知らない人ばかり。

 

みんな仲良く楽しく過ごしてた。

 

夏休みに入る前くらいに、彼女は

学校に来なくなった。

 

最初は、グループのみんなと放課後

彼女の家に行って

玄関で、彼女と立ち話したり手紙を渡したりしてた。

担任も、家に訪問してた。

 

私は、当時、「不登校」という言葉を

知らなかった。

 

担任も、クラスメートが彼女を忘れないように

彼女から借りたスケッチブックを見せた。

すごい、うまい絵がいっぱい。

知ってるアニメキャラの絵が、いっぱい。

 

彼女の家に、みんなで会いに行っても

徐々に、彼女のお母さんが断るようになった。

そして、まったく会えなくなった。

 

私たちは、中学2年生になる準備で

私物を、新しい教室に移動する時に

誰もいなくなった教室に、彼女の机だけが残った。

 

また、彼女は、このクラスで1年生を

始めるのだろうか?

 

私たちが、卒業するまでの3年間。

彼女は、学校には来なかった。

 

彼女が、どうして学校に来なくなったのか?

ずっと、わからない。

 

彼女は、いぢめられてもいなかった。

クラスには、いぢめはあった。

でも、いぢめの対象は彼女じゃなかった。

 

私は、他校だったから、そのいぢめの対象の子から

話しかけられて遊んだこともあった。

 

その時、彼女から言われた。

「あの子、小学校の頃から、いぢめられてて

一緒にいない方がいいよ」と

あの子キライなんだよねって顔をしていた。

 

私は、別の理由で、その子とは

遊ばなくなったけど

いつも、班を作る時に、その子は残ってしまって

恒例の

「どこかの班入れてあげて」

と、担任が言って

気まずい雰囲気になって、その子が、毎回泣いた。

 

この担任、責任丸投げは、小学校の頃から変わらないな。

 

私も、小学校の頃、絵を描いていると

いつのまにかグループができていた。

慌てて班に入ろうとすると

え!うちの班に来ないでよ・・・と女子たちから

無言の圧力。

あのなんとも言えない空気が、ほんとにイヤだった。

正直、どこにも入りたくない。

でも、担任は早くと急かす。

 

だったら、全部、くじ引きで決めてくれよw

 

自分は、何も悪いことしてないのに

その空気に耐えられなくて泣いた。

 

中学で、逆の立場になった。

泣いてるその子を見て

当時の私が重なる・・・

 

なんだか、すごく苛立った。

泣くから、余計いぢめられるんだ!!

もっと、堂々としてなよ!!

 

私は、泣いてるその子に

そう怒鳴った。

 

その子は、ますます泣いた。

 

伝わらない苛立ち・・・

いぢめたいわけじゃない。

そうじゃないのに、言い方がわからない。

 

別のクラスになっても、その子は

いぢめの対象だったけど

3年間、学校を休まず卒業した。

 

ささやかな片想いもしてたようだ。

てか、10クラスもあってクラスも別だったのに

誰々が誰々を好きとか筒抜けなん

ほんと、コワイ。

 

不登校になった彼女は

一体何が原因で、学校に来なくなったんだろう。

 

彼女は、私たちが入学する前の2年間は

どう過ごしていたんだろう・・・

最初の同い年のクラスメートとは

どんな感じだったんだろう・・・

 

まったく彼女のことを知らなったと

思い知る。

 

私に、笑顔で話しかけた彼女は

もしかしたら、今度こそと思っての笑顔だったのか?

 

一緒に、絵の話もしたかったし

アニメの話もしたかった。

 

もっと、仲良くなって

「さん」づけじゃなくて、あだ名で呼びたかった。

 

教室を出る時に、見た彼女の机

私が、置いていってしまったもの・・・

もう一度キスしたかった

もう一度キスしたかった

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