「枝豆を採りにおいで」
夏になると、お義父さんから電話が、かかってくる。
畑で、枝豆を抜いて
母屋の日陰で枝から豆を、ぶちぶちと袋に入れる。
母屋で、お義父さん用に、枝豆を茹でて
自分ちでも、枝豆を茹でる。
「うまあぁぁぁぁぁ~!!!!」
枝豆は、大好きで、よく冷凍枝豆も食べてたけど
全然、違うなー
お義父さんの枝豆、最高!!
友人たちにも、枝豆を送った。
みんな、茹でた枝豆の写真を送ってきてくれて
「すごい、おいしかったよー」
「今まで食べてきた枝豆より、うまかった」
と、言われてるたびに
そうだろう、そうだろう
お義父さんの作った枝豆は世界一なんだと
誇らしかった。
お義父さんがいなくなって
初めての夏がやってきた。
スーパーに、他の農家さんの枝豆が売っている。
思わず、涙が溢れそうになって
その場を離れる。
お義父さんとの思い出が強すぎて
もう、他の枝豆を買おうと思えない・・・
暑いなーと言いながら
ふたりでペッドポトルのお茶を飲んで
お義父さんは、小松菜のハウスに向かい
私は、枝豆の畑で、ひとり黙々と抜く。
お義父さんが、たまに様子を見に来て
抜いた枝豆を軽トラの後ろに運ぶ。
お義父さんの仕事が終わると
一緒に軽トラに乗りながら母屋に帰る。
あの夏の日々を、まだ鮮明に覚えている。