あの空は夏の中

ドラマ、映画、本、特撮の感想ブログ

母性

湊かなえの本を、きちんと読んだのは

この本だけだ。

 

そして、湊かなえ自身

 

「これが書けたら作家を辞めてもいい。

その思いを込めて書き上げました。」

 

そんな覚悟をするくらいの作品なんだ?

湊かなえ作品は、ドラマで、いくつか見た程度で

本は、まったく読んだことがなかった。

気になる本があっても、次回でいいかな?

と、思って買うまでに至らなかった。

 

でも、この「母性」は、なぜか

手にとって、すぐに買った。

 

そして、読み出すと・・・

「母親」と「母親の母親」そして「娘」が出てくる。

 

母親が、まだ独身で娘時代だった頃

絵画教室で、ある男性と知り合い

母親が、とても気に入っていたから結婚したってあたりから

もう・・・ん???

母親が、気に入った人なら誰でもよかったのかな?

自分自身で好きになったわけじゃないよね?

という、結婚のエピソードから

絵に描いたような幸せな新婚生活が描かれる。

 

母親に依存したまま娘は、母親になる。

そして、娘を産む。

母親に、ただただ褒められたいだけの

ココロが成熟していない娘のままの母親は

実の娘より、母親が一番大事な人だった・・・

 

私自身、自分の母親に多分、今もなお、依存しているから

わからないわけじゃない・・・

悲しいけど、この母親のキモチが、まったくわからない!

と、言えたらよかった・・・

 

気持ち悪いくらいの母親への依存は

私自身もあるんだな・・・

 

ただ、この作品の母親の母親は、聖母のような

きちんと愛情をそそいで娘を育て

結婚したのだからと諭すことも言ってるんだよね。

 

私みたいに、毒母ではなく

もらえなかった愛情に飢えてるわけでもないのに

この作品の母親は、歪んだまま大人になってしまう・・・

 

究極の選択で

 

「母親を選ぶか?娘を選ぶか?」

 

で、母親は、お母さんはひとりしかいないから

お母さんを助けたい。

子供は、また産めばいい。

 

と、発言していて

 

私は、同時に、この愛されていない娘の視点でも

作品を読むことができたから

すごく、胸が苦しくなった・・・

 

台風の日の事故から

 

一転して、家族は夫の実家に身をよせる。

そこは、まるで地獄のような生活だった。

姑や小姑がいる義実家での同居・・・

しかも、夫は、自分の妻や娘が苦しい思いをしている中

不倫してるんだよね・・・

最悪だ・・・

何やってるんだ?お前の実家で起こってることだぞ???

 

姑の嫁いびりに耐える母親を、かばおうとする娘のキモチは

まったく伝わらなくて

娘の悪いところばかりが、母親には映ってしまう・・・

こんなにも、母親を思っている娘なのに・・・

 

そして、父親の不倫を、娘が知っただけでなく

母親の母親、祖母が亡くなった原因を

不倫相手の女から知らされる・・・

 

もう、ほんと・・・最悪だ・・・

 

何の罪もない娘が、罪悪感を感じたり

自殺しようと思うのは、容易に想像がつくことなのに・・・

 

ただ、ただ、この作品は、苦しくて苦しくて・・・

 

終盤、不倫した夫が帰ってきて母親は許し

嫁いびりをしていた姑も、嫁である母親を頼るようになり

 

作品の中で、何度か出てきた言葉

「お嬢様」と呼ばれていた母親が

細腕で、農業をするシーンが描かれていたので

細い体型のお嬢様のような母親なのだろうと

ずっと、思っていた。

 

娘が大きくなり母親を

母親は、中年体型の小太りなおばさんと語っていて

 

ああ・・・

それくらいの月日が、経ったのか・・・

お互いに苦しかった日々の終わりを感じた・・・

 

ほんとに・・・

よかった・・・

 

苦しくて、泣きそうになるシーンが

ほんとに、たくさんある作品だったけど

私の中では、かなり大切な本になった。

 

そして、娘が子供を産んだ時は

自分が与えてもらいたかった愛情を

そそいであげてほしいと思った。

母性 (新潮文庫)

母性 (新潮文庫)

  • 作者:湊 かなえ
  • 発売日: 2015/06/26
  • メディア: 文庫